毎日の仕事では、目先の治療内容としての、1本単位の治療に時間と技術、考えを奪われがちです。
1本単位の治療は基礎につながり、とても大切ですが、しかし、最終的に患者さんの口腔全体のトラブル解決につながるものでなければ、患者さんの将来にとって本当に良い治療ができているかに迷ってしまいます。
 
 当院では、患者さんの今後も踏まえた歯科医療の提供のため、1口腔単位でしっかりとコンセプトを持った治療を心がけております。
 そんな当院の症例の一部を、時系列や問題点と解決するまでのゴール、注視した治療中のポイント等などを交えて紹介しているページです。


1.重度歯周病 症例1

初診時、治療前画像

<問題点>
・歯牙の偏位による咬合崩壊
・歯根の2/3の骨吸収
・DEEPポケット多数歯

<ゴール>
・歯周病を治す
・可及的にTMJ(顎関節)、顎口腔系にやさしい咬合の回復

歯周病初期治療

<目的>
治療にあたり、プラーク、咬合の2つの因子に注視、歯周病の進行状況から、可能な限り速やかに口腔環境(磨きやすい)をつくる。

歯周病(P)外科

<目的>
初期治療では、困難な骨縁下ポケットの細菌のコントロール

1-3.プロビショナルにて、長期経過観察

<目的>
歯周組織、さらに上位のTMJに優しい咬合関係の付与

咬合再建のため、プロビショナルの顎位をルシアジグを用いて決定(可及的にCR=ICPで顎位を決定)

最終補綴


<目的>
清掃性・咬合・発音・審美等を考慮した最終補綴

メンテナンス

・TBI 
・定期的な歯石バイオフィルム除去 
・歯周病の検査
術後10年経過良好

2.重度歯周病 症例2

初診時治療前画像


<問題点>
・痛みのためブラッシング不可
・ホルモン補充療法によるPGE2(炎症の増悪因子)
・歯周病による骨吸収による歯牙偏位、咬合不良

<ゴール>
・歯周病を治す
・歯牙偏位をMTMや補綴により改善
・メンテナンスしやすい口腔環境の確立

治療後画像


<課題と治療の際のポイント>
・ホルモン療法により炎症が起きやすいため、抗菌薬併用の下、徹底した歯周初期治療を行う必要性がある。
・保存不可能歯(1本)のEXTの上暫間咬合を確立し、歯周外科を行う。
・前歯部、フレアアウトによるMTMを経て、最終補綴を行う。

15年経過


定期メンテナンスにより、大きなトラブルはなく、治療後経過良好

3.咬合崩壊および審美障害症例

初診時治療前画像

<問題点>
・咬合崩壊(宮地の咬合三角における第3エリア)
・縁下カリエス
・審美障害

<ゴール>
・審美的欲求を満たす
・咬合崩壊の改善、欠損レベルまでもってゆく

治療後画像


<課題と治療の際のポイント>
・咬合崩壊(宮地の第3エリア)を補綴、及びインプラントにより宮地の第1エリアまで改善する。
・縁下カリエスはSCL等を用いて、出来る限り保存する方向性を取る。
・審美的欲求を満たすよう前歯の歯頭部ラインをそろえる。

4.根管治療 症例1

治療前画像


抜髄、疼痛消失のため根充

治療後画像


 樋状根のPer
ニッケルチタンファイルにより十分に拡大し、垂直加圧にて根充
3か月の経過後、根尖病巣消失を確認


5.根管治療 症例2

経緯:自発痛にて緊急来院

術中画像


抜髄、疼痛消失のため根充

術後画像



6.補綴について (基礎技術)

自費補綴の場合

 自費補綴の場合は、「個歯トレー」を使用し、シリコンにて印象採得。

 より精密な印象が採れるため、特に補綴物のマージンとの適合が高く、う蝕になるリスクを減らすことが可能。